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今年満75歳になる人は、昭和8年生まれの人たちである。この年齢前後の人たちは、日本の戦後復興を支えたり、日本が高度経済成長の途上にあった昭和39年の東京オリンピックの頃を含め、その以降も、「ウサギ小屋に住んでいる日本人」だの、「働きバチ」だのと、世界の先進国から揶揄(やゆ)されながら、日本の経済成長を支えてきた人たちである。 その75歳を境目として、今年4月から、それ以上の年齢の人たちに対し、政府は「後期高齢者」というカテゴリーを作り、過酷な医療制度を押しつけた。 次に、この制度の弊害を、「かかりつけ医制度」と「後期高齢者医療保険料控除制度」の2点で例示的に挙げ、見てみる。 「かかりつけ医制度」は、かかりつけ医以外では、医者の診療報酬が低額に抑えられてしまう制度であり、治療を施す医者側からは、従来のような手厚い治療ができなくなる惧れがある。人の疾病やケガに対しては、かかりつけ医1人で対応できるわけがない。医者にはそれぞれ専門性があって、内科もあれば、循環器科もあり、皮膚科もあれば、整形外科もある。医者は、後期高齢者の患者から、かかりつけ医に指定されなければ、その患者に対する十分な医療を施せなくなるであろう。人は、高齢者になればなるほど加齢により、病気や怪我で治療が必要になる確率が高くなる。この制度は、人生の終盤を健康で平穏に過ごそうと考えているお年寄りにとって、極めて深刻で過酷な制度である。 また、「後期高齢者医療保険料控除制度」は、お年寄りが政府から支給される公的年金から、その保険料を天引きされる仕組みである。公的年金記録の管理が杜撰(ずさん)で、まともに年金が支給されない人たちがいるにもかかわらず、いやおうなしに保険料を天引きしてしまう。天引き後の手取り額が、通常の最低生活すらできない小額に陥ったとしてもお構えなしの姿勢である。 そして、無年金などで、この保険料を支払う能力がないお年寄りに対しては、保険証を発行しない仕組みまで作り上げ、その人たちには、自費で医療費の全額を支払う義務まで課しているのだ。これでは、経済的に困窮しているお年寄りは、医療から遠ざかり、最低の医療も受けられなくなってしまうであろう。これは、保険料を支払う経済的能力がない人は医療を受けるな、という政府の姿勢である。 日本は、世界に名だたる医療保険の国民皆保険制度(こくみんかいほけんせいど)を施行してきた。しかし、現在の後期高齢者医療制度は、明らかに国民皆保険制度を崩壊させている。医療制度の改悪だ。これは、日本の経済成長を支えてきた人たちの人生の終盤に対して、何という仕打ちなのであろうか。 このような改悪された医療制度に対する国民の批判が、4月27日に行われた衆議院山口2区の補欠選挙で、与党、自民党、公明党側の敗北を招いた。そして、この制度に反対する野党、民主党、社民党側を勝利に導いたのだ。この選挙では、共産党も独自の候補の擁立を見送り、消極的ながら支援している。この選挙結果は、衆議院の一選挙区の結果として捉えるだけではなく、国民全体のサンプリング調査の結果がここに現れたと捉えるべきである。 政府は、すぐにこの後期高齢者医療制度を廃止し、改めてお年寄りに優しい医療制度を構築すべきである。今が若い人でも、人生では順番に高齢者に押し上げられる。自らが高齢者になってからでは遅すぎると認識し、堅固なセーフティーネットをしっかりと構築しておくべきである。 |
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